より良い自分へと成長していくために、コーチングの理論を自分の日常に取り入れ、マインドを上手に使える様にトレーニングしていく。日常の中で自分のマインドと何度も向き合っていると、マインドの状態が様々なことに影響を及ぼしていることがよくわかります。

例えば職場の上司の態度を見てイライラしたり、彼女が発した何気ない一言にモヤモヤしたり。日常の中で周囲の人と関わっていて感じる、ネガティブな方向への感情のざわつき。この「感情」と呼ばれるものもコーチング的な考え方や視点で捉えると、マインドが深く関わっていることがよくわかりますし(当たり前と言えば当たり前ですが)、コーチングで語られるマインドの使い方をちょっと応用することで、これまでより上手く対処もしやすくなります。そのための方法や考え方はいくつかあるとは思いますが、その一つが、今現在の自分自身の物事の捉え方、コーチングの言葉でいうブリーフシステムを確認する機会にする、という視点です。

相手と自分という二人の関わり

何らかの人との関わりでネガティブな方向に感情がざわついたという時、ほとんどの場合、その要因になったと感じている相手に対して意識が向いていると思います。「あいつのせいでいつも仕事が進まない。マジで勘弁してほしいよ。あ〜イライラする」の様な感じです。ただ実際のところ、そうなった要因が相手だけにあるかと言うとそうでもないのです。その感情は相手と自分という二人の人間の関わりの結果として、自分の脳と心の中で生じたものだからです。つまりその要因には、相手だけでなく自分自身も含まれているんですね。これはちょっと考えてみるとすごく当たり前なことでもあります。

例えば職場で会議をしていて、上司がいかにも眠そうな態度を見せていたという状況があったとします。おそらくその会議が終わった後に、「こっちはこれだけ真剣に会議に臨んでいたのに…」と感情をざわつかせ愚痴をぶちまけている人もいれば、気にするそぶりも見せずに自分の仕事の続きに取り掛かる人もいるはず。この時何がその違いの要因になのかと考えてみると、それは一人一人がその上司の態度をどの様に認識し捉えたかが違うから、だと言えます。「会議中の上司の態度」という要素は、客観的に見れば誰が見ても同じなはずです。ある人が見たら活発に発言している様に見え、別のある人が見たらウトウトと眠そうに見える、なんてことがあるはずがありません。

ですがそれを認識する私たち一人一人はそれぞれ違う価値観を持っていますし、一人一人が直面している状況も大きく違います。Aさんにとっては、会議で話し合われる内容が今後の自分の仕事を大きく決めるものだったのかもしれないし、Bさんにとっては「全く関係ないから早く終わらせたい」と思えるものだったのかもしれない。

ブリーフシステムに合致するか、しないか

では何がその認識や捉え方の違いを生み出すのか。それは一人一人が固有に持っている(と本人が気付いているものもあればそうでないものもあります)「これはこうあるものだ」「こういう時はこうすべきだ」といった信念や価値基準、コーチングの言葉で言うブリーフシステムがあるからです。その信念や価値基準に合致するかしないかが、認識や捉え方の違いとなり、人との関わりの中でネガティブな感情を生み出すきっかけにもなる。もし仮に自分が抱いている「これはこうあるものだ」「こういう時はこうすべきだ」という通りの言動や行動を相手が見せたのであれば、つまり信念や価値基準に合致するものであれば、そのことに対してネガティブな感情がざわつくことはまずありません。「これはこうあるものだ」「こういう時はこうすべきだ」とは、言い換えれば自分にとっての「当たり前」の基準であり、相手がその当たり前の基準を満たすことは、自分にとって好ましいことだからです。

上の例で言うと、会議で話し合われる内容が今後の自分の仕事を大きく決めるというAさんの場合、上司がリーダーシップを取りながら真剣に会議を進めてくれたのなら、上司に対してネガティブな感情を感じることはなかったはずです。Aさんにとって「この会議の内容によって自分の今後の仕事も大きく左右される。だから真剣に話し合わないと」という価値基準があったはずだからです。(その価値基準をさらに突き詰めると、「自分は人よりすごい仕事をしないといけない」といったまた別な価値基準が出てくるかもしれません。)

そしてその逆のパターン、信念や価値基準に合致しない言動や行動を相手が見せた時にネガティブな感情が生じます。相手の言動や行動は自分にとって好ましくない、シンプルに言うと「嫌なもの」となるからです。上の例で言うのなら、上司がリーダーシップを取りながら真剣に会議を進めていたとしたら、逆にBさんは「いつも話が長いんだよな…」と上司にイライラしていたかもしれません。Bさんには「自分には関係ない会議。さっさと終わらせたい」という価値基準があったと言えるからです。

一つ上の抽象度

相手の言動や行動が自分の信念や価値基準に合致しないと認識したから、ネガティブな感情が生まれ、心がざわついた。これを逆にすると、ネガティブな感情が生まれたということは、相手の言動や行動が自分の信念や価値基準に反していると認識したからだ、となります。つまり人との関わりの中でネガティブな感情を感じた時というのは、今現在の自分の信念や価値基準、ブリーフシステムを探るいい機会にできるんですね。こうすることの何がいいかと言うと、一つ目はネガティブな感情から自然と離れることができるという点です。相手にイライラしている状態から、「今感じているこの感情はどんなブリーフシステムが自分にあるからなんだろう?」と頭を働かせることで、一段上の抽象度からその感情や自分自身を認識することになる。そうすると高ぶっていた気持ちも比較的に鎮まりやすくなります。

そして二つ目は、自分自身を現状に固定化させる要因になっているブリーフシステムに気付ける可能性があるということです。ここでは詳しくは触れませんが、「これはこうあるものだ」「こういう時はこうすべきだ」といったブリーフシステム、信念や価値基準の一つ一つを変えていくからこそ、その総体である自分自身も変わっていきます。これはコーチングでの自己変革における一つの本質です。そしてそれらを変える上で大切なことは、まずはその存在に気付くこと。存在に気付いていないものを変えようと思ってもなかなかそうはいかないからです。そしてそれに気付けたのなら、あとは「こうありたい」と迷いなく思えるゴール側の自分自身のブリーフシステムと比較してみて、必要であればそのままにし、そうでなければこれから修正していけばいいのです。

私自身、ネガティブな感情で心がざわつくことは今はだいぶ減りましが、実はつい最近心がざわつくできごとがありました。詳細を書くのは控えますが、知人との関わりの中でちょっとしたイライラを感じることがあった。その感情は私にとって不要だと思えるものだったので、ここまで書いてきたことを実践しイライラの元になったブリーフシステムを突き止めました。そしてそれは、「こうありたい」と迷いなく思えるゴール側の私自身から見て明らかに要らないものだと判断できたので、修正することにした。この記事を書いている段階では現在進行形で修正中なので、ふとした瞬間にネガティブな感情が顔を出すこともまだありますが、その都度「これは俺らしくない。要らないよね」と自分に語りかけているところです。当初と比べてだいぶ変わってきたなという実感もあるので、おそらく近い内にほぼ変えてしまえるだろうと感じています。

一見すると悪いものに思える、人との関わりの中でのネガティブな感情。ですがちょっと見方を変えてみると、新しい気付きや学びを得る対象にすることもできます(広い意味で考えればそれもマインドの上手な使い方の一つだと言えます)。そしてネガティブな感情に限らず、あらゆる物事に対してそれは言えること。ある物事や状況があった時、そこから何も気付こうとしないか、それとも新しい気付きを得ようとするか。それは自分で決められることなのです。

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