例えばこれまで行ったことがない様な場所や空間に行った時や、知り合いが誰もいない集まりに参加した時。気付くと身体と心の両方が緊張してしまっていると思います。無意識の内に肩に力が入ってしまっていたり、「あ~、なんか居心地悪いな…」と心の中でつぶやいていたり。そして「いつものあそこに行きたい」「早くここから離れたい」と、いつもの場所に戻りたい、集まりが早くお開きにならないかと思ってしまう。あなたにもきっとそういった経験があるんじゃないかと思います。

これまで行ったことがない様な空間に行くと身体も心も緊張してしまう。一見するとあまりよろしくないこと、なるべく避けるべきことの様に聞こえます。「緊張する様な場所にはやっぱり行きたくないです…」という方も多いと思います。ただ実は、これは目的と使い様によっては自分にとってよりプラスに働く様に活用できることでもあります。例えばそれは、コーチングを自分の日常に取り入れていく中で設定した、ゴール側の自分の人格を強めていこうとする時です。

これまでの自分を揺らがす

これまで行ったことがない様な空間に行くと身体も心も緊張してしまう。なぜその様なことが起こるのかと言うと、シンプルに言えばその空間が自分にとって落ち着くことができない、馴染みのない空間だからです。コーチングの言葉で言うと、これまでの自分のコンフォートゾーンから外れている、と言うことができます。コンフォートゾーンとは、自分にとって馴染みがある場所、空間、人、モノ、お金、情報等々を、一括りにした概念のことです。そしてその「馴染みがある・ない」というのは、違う角度から見ると「自分にとって安全かどうかがわかっているか・いないか」「自分にとって危険があるか・ないか」とも考えることができます。自分にとって安全でない、何らかの危険やリスクがある場所を落ち着ける馴染みの場所としてカテゴライズするはずがないからです。

そして自分にとって安全かどうかが確認できていない、何らかのリスクがあると考えられる場所や空間に行った時、人は本能的に緊張する様にできているのです。何か身の危険があった時にすぐ行動を起こせる様にするためです。「あ~、快適」と思いっ切りリラックスしている状態では、何か身の危険につながる様な出来事があった時すぐに行動に移すことはできません。つまりある種の臨戦態勢に入る必要があると無意識が判断することで、緊張が起こるということです。

もちろん現在の日本であれば、例えこれまで行ったことがない空間であったとしても身の危険がある様なことはそうそう無いと思います。ただこれが原始時代とかそれぐらいの頃だと話は変わります。そういう環境では獣にガブッと食べられてしまったりと、生命を失くしてしまうかもしれないリスクは常に隣り合わせです。だからこそそこで緊張状態になり、何かがあった時にすぐ行動できる様な態勢を取っておくことが必要だった。先ほど「人は本能的に緊張する様にできている」と書きましたが、その頃の名残がまだしっかりと私たちにも受け継がれているのです。

バランスの重心はゴール

そしてその「これまでの自分のコンフォートゾーンから外れている」という状態が、ゴール側の自分の人格を強めていくということに繋がってきます。その状態は違う見方をすると、安定していた状態からバランスを崩し不安定な状態になっていると見ることもできます。そういう状態の時、人は強いエネルギーを出してバランスを取ろうとある一つの安定した状態に戻ろうとします。そして通常であればこれまでの状態に戻ろうとするのですが、その時のエネルギーを逆向きに新しい状態へと向けてやるのです。

例えるのなら、補助輪が付いていた自転車から補助輪が付いていない自転車に初めて乗り換えた時のイメージです。補助輪なしでフラフラとしてしまう状態の時、バランスを取りたいがために必死になると思います。そしてそのための選択肢は突き詰めれば二つ。足を地面に付くか、補助輪なしでも乗れる様になってしまうかです。前者は元の状態に戻るということ。冒頭の例えで書いた「早くここから離れたい」「いつものあそこに行きたい」と思うことなんかは正にそうですね。そしてそれは言い換えれば、これまでの自分に落ち着こうとする働きとも言えます。そして後者は新しい状態を作るということ。これまでとは違うバランスの取り方を体得しようとすること。つまりこれまでとは違うゴール側の自分へと収束することなのです。

人は、自分の内部の状態(体温や水分量といった物理的なものから、心の状態等より情報的なものも含め)だけでなく、自分の外部の状態(場所や空間、他人、気温等々)を知覚した状況も元にしながら、自分の生体を一つの安定した状態に維持しようとします。例えば暗順応と呼ばれる、視覚の状態変化もその働きの一つです。明るい場所から急に暗い場所に移動すると、初めはほとんど何も見えないけれど時間が経って徐々に周りが見えてくる様になった、ということをあなたも経験したことがあると思います。

コーチングでは通常、先に自分の内部(脳と心=マインド)の状態を変え、それを外部の状態にも波及させるというアプローチを取ります。ここまで書いてきたことは、それを理解した上であえてその逆をやるということでもあります。前のめりな感覚で外部を変えることで内部に矛盾を生み出し、その矛盾をこれまでとは違う形へ解決させることで内部をも変える。(もちろん実際は先に内部への働きかけがあります。)今回お伝えしたことは、私自身がゴール側の自分自身をより強めていく上でかなり効果があったことでもあります。ただ実際にやろうとする時はいくつか外せないポイントが出てきますので、そのポイントも含め、次回は実践編としてお伝えしていこうと思います。

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