ブログを読んでいただいている方から「コーチングって、吃音を改善することにも効果があるんですね」の様な声をいただくことがあります。コーチングに興味を持ってもらえたからこそいただけた声なので、そう言っていただくことは個人的にとても嬉しく感じています。ただ実際のところ、コーチングの理論を学び実践する → 吃音が変わる、の様に直線的なものかというと、そんなに単純ではなかったりもします。実際『コーチング』というもの自体は吃音を変えることを目的にしたものではないのです。

科学を元にした『マインドの上手な使い方』

コーチングの理論で説明されていることは、自分自身や自分を取り巻く状況を、今現在の状態からもっとより良くしていくことを目的にした『マインドの上手な使い方』です。そしてマインドとは何かと言うと、これについては様々な議論がなされているとは思いますが、コーチングの枠組みの中においては『脳と心』のこと、そしてその仕組みや働きなんかを含めたものを指します。コーチングの理論で説明されていることの背景には機能脳科学や認知心理学といった、脳や心を徹底的に突き詰め続けている科学があります。そしてその科学を土台として、人の脳と心にある共通した特徴や働きをうまく利用しながら自分や現実を変えるための方法が語られている。コーチングの理論を学び実践するということは言い換えると、マインドの使い方に上達していくこととも言うことができます。

私たちはこれまで生きてきた中で経験的かつ偶然的にマインドの使い方を身につけてきてはいるものの、多くの場合すごく偏っている形であったり、限られた形でしか使えていないことがほとんどなのです。それが一概に悪いことだと言えるわけではありませんが、例えばそれが自分を現在の状況に強く縛ってしまう原因になったりと、あまりよろしくない方向へ働いてしまっていることも多い。だからこそコーチングを通して上手なマインドの使い方を身につけることには、とても大きな意味があることだと言えます。私自身コーチングを学び実践したことで、得られたことは本当にたくさんあります。

目の前の状況にどの様な意味を持たせるのか

そしてこれは吃音を持つ方であれば感じることも多いかと思いますが、吃音というのはその時の自分の心の状態に大きく左右されるものです。でなければ「人前では言葉につまるけど、自分一人の時はスムーズに喋れます」なんてことは起こらないはずです。そしてその心の状態に特に強い影響を与えていると言えるのが、前回の記事にも書いた恐怖や不安、悔しさ、憤りといった吃音に関連するネガティブな感覚です。

吃音を意識しなくなっていく時に起こっているとてもシンプルな変化

2016.10.04

そのネガティブな感覚を感じるかどうかというのは、目の前の状況が自分にとってどの様な意味を持つのかということを無意識レベルで認識した結果として起こることだと言えます。私たちが目の前の状況を認識する時というのは、ほとんどの場合緩やかに固定されているパターンを元に無意識レベルで認識します。そしてそのパターンの結果として何らかの行動を起こそうとします。例えば仕事の場面で、「この内容を取引先のAさんに提案したら、Aさんのことだからきっと〇〇な反応が返ってくるはず。だからその〇〇に備えて、いくつか策を考えておこう」という様な打ち合わせをすることは結構多いと思います。この様なことが考えられるのも、「Aさんならこういう場合はこう思って、こう言うはず」というAさんが持つ価値基準や判断基準、つまり物事の認識の仕方、そしてその後の行動すらもある程度の確かさを持ったパターンとして把握できているからこそです。

吃音の場合で言うのなら、自分が言葉を発するという状況を「以前、言葉がつまってイヤな思いをした時と同じ様な状況だ。これはまずい!」の様に無意識で認識してしまっていると言えます。そしてその認識の結果として身体も心も緊張した状態になってしまう。その「以前と同じ様な状況だ」と認識できたということは、事前に持っていたパターンに目の前の状況が合致すると無意識レベルで判断したということです。だからこそすでに形成されている認識のパターンをいかに変えていくかということが、吃音を変える上でとても重要になってくると言えるのです。

コーチングでは、認識のパターンを変えていく

コーチングの理論においては、その認識のパターンのことを『ブリーフシステム』と言います。そしてブリーフシステムを変えていくことは、コーチングの理論で語られているマインドの上手な使い方の一つの本質でもあるんですね。目の前の状況をどの様に認識するかが変わっていかないことには、自分自身をより良い方へ変えていくことは難しいと言えるからです。認識のパターンを今の状態から違うものへと変えていく。この部分で吃音を変えていくこととコーチングで自己変革していくことが繋ぐことができると言えます。

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