以前知人と話していた時のことなのですが、話の流れで「最近誰かから褒められたり、認められた様なことってあった?」と質問してみたことがあります。するとその知人は、「…急にどうしたんですか?なんか怪しくないですか?(笑)」と、意外な質問をしてきた私を訝しみながらも、ちょっと考えてこう答えました。「いや~、ないですね。…ていうか、褒められたり認められたりって、そう簡単なことじゃなくないですか?」

誰かから褒められたり認められたりすること。それは知人にとっては『特別なこと』であり、実績や結果といった何らかの理由が必要になるもののようでした。私自身もコーチングを学び、実践する前は同じ感覚だったと思います。褒められたり認められたりすることはあまりなかったし、そうされることがちょっと恥ずかしい感覚もあった。ただコーチングを学び実践する中で、その感覚は徐々に変わっていきました。

コーチングを実践していくことを別の言葉で表現するのなら、自分の中のいろんな価値観を「否定」から「肯定」へと書き換えていくことだと言えます。今の自分が持っている価値基準や判断基準のほとんどは、失敗だと評価した過去の経験からくる記憶を元に形成されているからです。だからコーチングを通して自分の変化が実感できるようになると「褒める」「認める」「肯定する」といったことが、次第に当たり前になっていく。

そしてその感覚を持ってふと周りを見渡してみると、「褒める」「認める」「肯定する」ことがとても少ないことに気付きます。街中を歩いている時や電車に乗っている時、あるいは仕事をしている時。周囲の人たちの会話にそっと耳をそばだてみると誰かや何かを否定する言葉は聞こえても、誰かや何かを肯定するような言葉はあまり聞こえてきません。

「◯◯はさ~、あそこがダメだよな~‥」「あの人ホントどうにかしてほしい‥」「なんでコイツさ、こんなメールなのかな…」褒めたり認めたりしている会話よりもけなしたり否定したりする声の方が、圧倒的に多い。もちろん全てがその人の本心からくるものだというわけではなく、ちょっとしたウケを狙っておふざけ感覚で言っているということもあるのでしょう。ただ客観的に見て多くの人にとって「肯定」より「否定」が当たり前になっているのは事実だと思います。

「けなす」「否定する」ことは普通で、「褒める」「認める」ことは普通じゃない。それは「自信を持てない」「自分が無い」といったことで悩む人が生まれてしまう一つの要因なんだとも感じています。だからこそ相手のことを尊重し「褒める」「認める」「肯定する」を意識してみることは、コミュニケーションにおいて意外と大きな影響を及ぼすものになります。自分を褒めてくれたり認めてくれる人ってあまりいないのです。

ほんのちょっとしたことでも構いません。普段の人との関わりの中で相手がやったこと、考えていることをしっかりと受け止め、尊重し、「褒める」「認める」「肯定する」。相手の話している内容や何かの行動に対して、こちらがいいと思えるものがあれば「いいですね~。」「へ~、すごいじゃん。」「お、さすが。」と言葉に出して相手に伝えてみる。

はじめはちょっと恥ずかしいしこそばゆいかもしれません。でも誰かがそうしてくれるのを待つのではなくまず先に自分がそうする。自分がその変化の中心になってみる。何も特別なことじゃありませんし、難しいことじゃない。ですが個人的には、巷にある小手先のコミュニケーションテクニックより、遥かに大切なことだと感じています。

 

 

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