前回の記事で、『マインド』をよりリアルなものとして感じていくために、自分の普段の何気ない無意識での選択や行動、特に口に出したり心の中でつぶやいたりする『言葉』を観察してみることについてお伝えしました。

些細な自分の言動の裏側

2016.09.14

自分が使った言葉を表面的に観察することはもちろん、その言葉を使うにあたっての背景、つまり自分が無意識に抱いていた「これはこうあるべきだ」という価値観や判断基準にまで目を向けていく。そのようなことをある程度継続していくとあるマインドの働きが徐々に観えてきます。『セルフイメージ』と呼ばれるものです。セルフイメージとは一人一人が持っている「自分はこんな人間だ」という、自分自身に抱いている在り方や気質といったものが一纏まりになったイメージのことです。私たちは普段、気付いている・いないに関わらず、ぼんやりと「自分はこんな人間だ」というイメージを抱いています。

自分の思考や行動はセルフイメージで決まる

セルフイメージがどのようにして自分の中に形成されていくのかと言うと、過去の自分の経験や、周囲の人たちが言っていた言葉を自分自身が受け入れることで形成されていきます。例えば子供の頃に人前で発表した時、緊張のあまり早口になり自分でも何を喋っているのかわからなくなってしまったといった経験によって、「人前で話すのはあまり得意じゃないのが自分だ」というセルフイメージが作られたり。例えば、テレビドラマの中でのセリフで「あの人は奥さんのことを心から愛していて、本当に素敵な方よ」という言葉を聴き、「そっか。よし、俺も彼女のことは大切にしよう」と自分が受け入れることで、「彼女を大切にするのが自分だ」というセルフイメージが作られたり。つまり、『何らかの出来事 → セルフイメージ』 という図式です。

ただ、ある時からこの図式に変化が見られるようになります。セルフイメージが逆向きに自分の行動を決めるようになり、結果としてその行動によって生じる出来事にまで影響を与えるようになっていきます。無意識の内にセルフイメージに反する行動を取らなくなっていく。そしてもしセルフイメージに反する行動や出来事が起きようものなら、セルフイメージに合致するように無意識で修正しようとする。つまり、『セルフイメージ → 何らかの出来事』 という状態です。

先ほどの例えで言うと、「人前で話すのはあまり得意じゃないのが自分だ」というセルフイメージを持つ人は、人前で喋らなければならない状況は無意識の内に避けようとします。そしてもしどうしても喋らなければならない状況があったとしたら「あ〜やりたくない。中止にならないかな…。」と、やらなくてよくなる理由や状況を探そうとしてしまう。「彼女を大切にするのが自分だ」というセルフイメージを持つ人は、彼女のことを最大限尊重するように接することを心がけます。そしてもしつい投げやりな感じで彼女に接してしまったりすると、「あ、今の接し方はまずかった」と振り返り、次からは彼女にもっと誠実に接するように無意識の内に修正していこうとする。

今の自分とすでに成長した自分の大きな違い

自分をより良くしていく、成長させていくということを考えた時、このセルフイメージをいかに変えていくかということがとても重要になります。上に書いたように、人はセルフイメージの範囲を超えるようなことを考え行動しようとすることはほとんどありません。ですがより良い自分・成長した自分というのは、今の自分とは異なるものの考え方を持ち、今の自分では躊躇してしまうような行動もすんなりと起こしているはずです。つまり確実に今の自分とは違うセルフイメージを抱いている。そしてそれを変えて行くための一つのやり方が、コーチングで重要視される『セルフトークのコントロール』です。前回の記事でも少し書きましたが、自分が使っている言葉の全てを観察していくことをコーチングでは『セルフトークのコントロール』と呼んでいます。そしてこれは観察することと同時に『変えていくこと』も含まれています。自分が普段何気なく使う言葉を観察し、そして変えていくのです。

言葉とセルフイメージは双方向の関係

なぜ使う言葉を観察し、変えていくことでセルフイメージが変わっていくのかというと、人は無意識で一つのセルフイメージを維持するために言葉を使っているからです。言葉を観察することでセルフイメージが観えてくるということは上で書いた通りですが、それは言い換えればセルフイメージによってどんな言葉を使うかが決まってくる、と考えることができます。『セルフイメージ → 言葉』 という図式です。

上の例で考えると、「人前で話すのはあまり得意じゃないのが自分だ」というセルフイメージを持つ人は、「発表したくない…。イヤだイヤだイヤだ…。」と心でつぶやくことはあっても、「あ~楽しみでワクワクする。早く発表したいな。」と言葉を発したり、心の中で呟いたりすることはまずありません。「彼女を大切にするのが自分だ」というセルフイメージを持つ人は、彼女に対して「今日もキレイじゃん」と言うことはあっても、彼女をけなすような汚い言葉を吐くことはまずないはず。つまり、人が普段何気なく使う言葉というのは、セルフイメージの結果として表れたものだということです。ただこの時『セルフイメージ → 言葉』という図式が固定されているかというと、そうではありません。『言葉 →セルフイメージ』と逆向きになる場合もあります。

上の例えで言うと「人前で話すのはあまり得意じゃないのが自分だ」というセルフイメージを持っている人が、どうにか自分の発表を終え一息ついている時に、発表を聴いた人から「〇〇さんのお話、とてもわかりやすくてすごく学びがありました。ありがとうございます!」と賞賛の声をいただいたとします。そしたらどうするか。「いやいや、かなり噛みまくってしまったので、自分はどうも…。」のような言葉を思わず口走り、せっかく相手が賞賛してくれてるのに全力で否定してしまいます。あなたも似たような経験があるかもしれません。実際私は以前よくそうやっていました。

なぜそうやって賞賛を否定してしまうかと言うと、相手が自分に対して言ってくれた言葉は、自分のセルフイメージとは大きく違う言葉だからです。人はセルフイメージに反する行動や出来事が起きようものなら、無意識でセルフイメージに合致するよう修正すると書きましたが、無意識にとってはセルフイメージが変わる可能性がある状況は我慢ならないことなのです。だから「いや~、そうですかねぇ。」と、無意識で『言葉を使って』、セルフイメージを維持しようとする。ですのでセルフイメージと言葉の関係を図式化するなら『セルフイメージ ↔︎ 言葉』となるのです。だからこそ普段使う言葉を意識的に変えていけば、セルフイメージに影響を与えることができる。コーチングにおいて、セルフトークをコントロールすることがとても重要なこととして位置付けられている理由はここにあります。言葉というのは自分がどんな人間であるかをも決めうる力を持っているんですね。

未来の自分らしい言葉を先取りする

そして言葉を変えるとは、より良い自分・成長した自分・ゴール側の自分が当たり前に使っている言葉を今この瞬間から使っていくということなのです。例えば、オーダーした食事をウェイターさんが運んできた時に「すみません」と言うのか「ありがとうございます」と言うのか。例えば言葉につまってしまった後に「また言えなかった、何でいつもこうなんだろう…」と考えるのか「次はどういう風に話していこうか」と考えるのか。

ありとあらゆる状況において、より良い自分・成長した自分・ゴール側の自分ならどんな言葉を使うか、ということを考え、それを実際に使い、発していく。もちろん初めはすごく気持ち悪い状態が続くと思います。「ホントにこんな風に言ったりしていいの…?」なんて思うこともあるはず。でもそれでもやり続けるのです。そうするとそのうち慣れてきて、はじめは意識して使っていた言葉が次第に何気なく当たり前のように使う言葉になってきます。その時の感覚は確実に以前とは大きく変わったものになっているのです。

Share on Facebook0Tweet about this on Twitter0Share on Google+0Email this to someone

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です