言いたいと思った言葉が出なかった時、普通なら言って当然だと思われている瞬間にどうしても言えなかった時。相手が自分のことをどう思っていたのか、どう感じていたのかが気になってしまう。その状況を見ていた周囲の人が自分のことを変に思ったんじゃないかと心配な気持ちになってくる。吃音を持っている人であれば同じ様なことを感じた経験がきっとあると思います。これは私自身にも言えることで、今はそれほどでもないのですが以前は相手にネガティブな印象を与えていないか無意識で気にしていました。そしてそのことが気になるあまり他のことに手が付かなくなるなんてこともしょっちゅうあった。

これは人によって変わるものの、自分に対する好ましくない印象を相手や周囲の人に与えるのはダメだといった強い価値観、コーチングの言葉で言うブリーフシステムが、吃音の悩みの深い部分にあるということは意外と多いのです。そしてその価値観が元になって現れてくる気質が相手のことや周りの人のことを気にしすぎてしまうというもの。相手に好ましくない印象を与えることを避けるためには、相手のことや周囲の人を気にしておく必要があるからです。

さらに言うと「好ましくない印象を与えてしまったかも…」と思ってしまうことで、自分のことを責めてしまい自己評価を下げてしまう悪循環にはまってしまうことも。だからこそ人によっては「周りの人を気にしないでいけたら、もうちょっと楽になるのにな…」と感じたことがある人もいるかもしれません。ただ「人のことを気にする」こと自体が悪いことなのかというと、決してそうではありません。見方を変えれば、自分以外の人のことも考えることができる、感じようとすることができることの裏返しでもあるからです。ですので実は自分の良いところ、長所にだってなり得るものなんですね。

もし自分のことを深く理解しようとしてくれて、自分のことを真剣に考えて関わろうとしてくれる人がいたとしたら。あなたにとってその人はいろんな意味で大切な存在になるはずです。その人は友達かもしれないし、上司かもしれないし、恋人かもしれない。関係性が何であれ、その様な存在がいてくれるだけで自分にとってとても大きな支えになると思います。自分のことを深く理解してくれている。自分のことを本当に考えてくれている。その人がいることで、その人と関わることでいつの間にか様々な自分のパフォーマンスも上がっていく。

周りの人たちを真剣に考え、感じ、理解し、思いやり、支えたり助けたりすることができる存在。関わっていく中で周りの人たちのパフォーマンスを自然と上げることができる存在。そういった人の多くは自分以外の人のことを考えたり感じたりすることに長けています。私は吃音で悩んでいる人というのは多くの人にとってのその様な存在になれる可能性を持っていると思っています。周りの人のことを考えようとする気質や吃音で経験してきた辛かった経験や気持ち、感情。そういったものが人の気持ちや感情、考えを理解する上でとても大きな助けになるからです。

そのためには相手のことや周りの人のことを考えてしまうことの、『理由』を変えていくことがとても大切になります。周りの人を気にしてしまうという状態をネガティブに感じてしまっている時というのは、自分を守ることがその理由になっている場合がほとんどです。相手の心にネガティブな反応が生まれることによって、相手が思っている自分に対する評価が下がるかもしれない。それが恐いしイヤだから相手や周りの人を気にしてしまう、考えてしまう。それは裏を返せば、自分の価値を下げたくないということであり、自分のことを守ろうとしているということ。周りの人を考えるということの『理由』が、自分へと強く向いてしまっているのです。

その『理由』を自分のためだけじゃなく、相手や周りの人へも向けてみる。自分がどう在れば、何をすれば相手や周りの人がより良い状態になるのか、喜んでくれるのか。そういったことに意識を向け考えながら人と関わってみる。そうしていくことで必ず周りの人たちの関係性は変わっていくことになります。自分が起点となり良い影響がどんどん周囲の人たちへ広がっていくからです。そしてそこで得られた感覚や、経験、感情。それらは、吃音の状態をよい方向へ変化させていく上で、意外と大きな影響を与えていくものにもなるのです。

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