ふとしたことで気分が下がってしまった時、その時の状況、自分の評価や情動を否定も肯定もせずに気付こうとしてみる。そうすることでその状態から離れやすくなる、といった内容を前回書きました。

事実と評価の分離

2016.08.19

『気付く』とは別の言い方をするのなら『意識的に客観視する』という風にも言えます。ただ、実際そうやろうとするとはじめは上手くいかないことが多いかもしれません。前回も書いたように、気分が下がってしまっている時というのは情動優位になりすぎてしまっている状態です。そうなってしまうと、そもそも『気付く』という選択肢を思い浮かべること自体が難しい場合もあります。ですので実際は、「気分が下がった時はやってみよう」という風に限定するのではなく、日頃から目の前の状況やできごと、五感で感じるものごと、心の動きに気付き意識に上げようとすることが大切です。いざという時にスッとそれができるように身体に覚えさせておくのです。

例えば今あなたはこの文章を読んでいると思います。あなたの目には文字が表示されているディスプレイが映っていて、そこには一つ一つの言葉が並んでいる。おしりには椅子の感触を感じていて、着ている服の肌触りも感じられるはずです。そこから身体の筋肉に意識を向けていくと、もしかしたら肩や首にすごく力が入っていることが感じられるかもしれませんし、いつの間にか足を組んでいたことに気付くかもしれません。耳に意識を向けると何かの音が聞こえているはずです。それは音楽かもしれないし、人の声かもしれないし、車が走る音かもしれない。そしてこの文章を読む中で微妙な感情の動きもあったでしょうし、心の中でもいろんなつぶやきが浮かんでいたはず。

このように今この瞬間に五感で知覚していることや、感情の動き、心の中のつぶやき、自分が経験している状況といったこれまで特に気にしようとしてこなかったものごとに対して、一つ一つしっかりと意識に上げていきます。そしてそれを可能な限りやり続けていく。次第にそれができている時の自分なりの感覚や意識状態が徐々にできあがっていきます。それに伴って、いざネガティブな感情が浮かんできた時にも「あ、今気分が下がってきだしたな」と気付きやすくなっていくんですね。これまでやってこなかったことをある特定の場面で狙いすましたようにしっかりとやることは難しいかもしれませんが、普段からやっていることをある特定の場面でもしっかりとやることはそうでもないからです。

鮮明になっていく『自分』

さらに言えば、常にあらゆることを意識に上げ続けようとすることで、思いもよらない発見があったりこれまで見えなかったことが見えてくるようになってきます。例えばそれは『自分』です。自分がどんなことを考えていて、どんなことを気にしていて、どんなことが癖になっていて、どんな身体の使い方をしていて、どんなことを重要だと思っていて、…と、自分の様々な特徴や癖、思考の偏りなんかがよりわかるようになってきます。自分をより良い方へ変えていくことも、ゴール側の自分に近づくことも、『自分』の様々な要素を変化させていくからこそできること。そしてそうするのなら、『自分』のことをあまり知らないよりは知っておいた方がやりやすいのは言うまでもありません。今この瞬間に自分が経験している状況、ものごと、五感情報、心の動き。そういったあらゆることに気付く、意識に上げる。その経験が積み重なっていくことで、これまでよりずっと様々なことへの冷静さが増していくはずです。

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