知人と会話している時に「いや、お前は〇〇でしょ」と、自分の人間性を決めつけるようなことを言われ、会話が終わって一人でそのことを思い返していると無性に腹が立ってきた。同じ仕事を任されている同僚の仕事のスピードの遅さに、イライラが募ってしょうがない。

仕事でもプライベートでも、自分を取り巻く周囲の人たちと関わっていく中で腹が立ったりイライラしたりすることはそんなに少ないことではないと思います。そしてその湧き上がった感情が自分の冷静さを失わせ、その後の判断や行動で思わぬミスを犯してしまうなんてこともある。腹が立つことやイライラすること、それそのものが悪だというわけではありませんが、その感情にのみ込まれてしまうことでその他のことにあまりよろしくない影響を与えてしまうのは避けたいもの。そして湧き上がる感情に身を任せるように振る舞っているばかりでは、周囲の人たちと良好な関係を築くことも簡単ではないはずです。だからこそそういった湧き上がる感情と上手に付き合っていくということは、あらゆる状況で役に立つことだと言えます。

じっくり見つめ、手触りを感じ、深く味わう

その湧き上がる感情といかに付き合っていくか。そのための考え方ややり方は様々あるとは思いますが、コーチングの理論の中で語られているマインドの使い方を応用するのであれば、その感情そのものやそれを感じている自分をじっと観察してみたり、いろんな角度から詳細化してみたりすることがおすすめです。上の例で言うのなら、「腹が立つ」という感覚をじっと感じてみたり、あえてしっかり味わおうとしてみたり、その感覚に色や音なんかを付けてみたりする。「何で俺はあの発言に怒りを感じているのかな?」と腹が立つという感覚を生み出す要因となったものを考えてみたり、過去に感じた同じような感情と比べてどれぐらいの強さなのかと比較してみる。「こうありたいと思うゴール側の自分なら知人の発言をどう感じるだろうか…」のように考えてみるのもいいと思います。

そうやって、湧き上がる感情やそれを感じる自分を一つ外の視点から観察してみたり論理的に分析してみたりすることで、カンカンになって何にも見えなくなっている状態から、熱くなっているんだけどそうなっている自分をしっかりと自覚できているという状態に持っていきやすくなる。そして観察したり分析したりということを何度か繰り返していくと、どんどん自覚している度合いが高くなっていって感情にのみ込まれる頻度も減っていきます。

想定外を知らせるシグナル

腹が立つ、イライラする、という状態が生じる要因をコーチングの観点から考えるのであれば、目の前で起きた状況(上の例で言うと、知人の発言や同僚の仕事のスピード)が、「〜はこうあるべきだ」「〜の状況ではこうするのが当たり前だ」といった、自分が持っているものごとの見方や考え方に反したからこそ生じたものです。コーチングの言葉で言う自分が持つブリーフシステム(信念の体系)にそぐわないものだったからと言うことができる。

もし仮に知人が発した内容が自分が心から同意できるものであったり、同僚の仕事のスピードが自分が望ましいと思っているものであれば、腹が立つ必要もイライラする必要もないからです。腹が立つ、イライラするといった感情は、目の前の状況が自分が想定する「こうあるものだ」を外れているということを示すシグナルのようなものなんですね。

『自分と相手』という関係性の中で生まれる

ここまでのことをもう少し深掘りし、かつ誤解をおそれずに言うのなら、腹が立つ、イライラするという感情が生じた要因は自分にもあるという風にも言えます。自分が持つ「〜はこうあるべきだ」「〜の状況ではこうするのが当たり前だ」がもっと違うものであれば生じなかったかもしれませんし、極論すれば自分がいなければその感情は生じようがありません。ただ多くの場合、要因を相手ばかりに求めてしまいがちで自分に目が行くことはあまりありません。感情を感じる主体である自分を観察したり分析するということは、そこで自分にもしっかり目を向けるということでもあります。よく「他人は自分を写す鏡だ」なんて言ったりしますが、まさに他人の振る舞いから自分を知るということなのです。

私自身、コーチングを実践するようになってから、以前に比べ何かに対してイライラする、ということはかなり減りました。そうなることが全くないというわけではありませんが、そういった感情を感じたとしても「この感情の裏には自分のどんなものごとの考え方があるのかな」のように捉えることが当たり前になったからです。自分のことをもっとよく知ったり自分の今のマインドの状態を把握する機会にしているということですね。

自分はどんなことに対して腹を立てたりイライラしたりするだろう、というような視点で日常を観察してみる。そうするとこれまであまり目を向けていなかった、あなたが持つものの見方や考え方がいろいろと見えてくるはずです。

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