前回の記事で、他人と自分を比べてしまうマインドの働きについて考察し、「他人と自分を比べなくてもいい」という主張の意図はどこにあるのかも考察してみました。

「人と比べてしまう」というマインドの働きについての考察

2017.04.24

主張の意図は、比べる事でネガティブ情動を生じさせマインドを現状維持の方向へ働かせてしまう事を避ける、という事にある。前回お伝えしたかった内容をシンプルに言うとこういう事なのですが、その点を踏まえ今回は、ではいかにして「他人と自分を比べ、ネガティブな情動を感じる」という事を避けられるマインドの状態を作っていくのか、についてです。

その様なマインドの状態を作っていく上では、やり方や考え方は一つではないとは思いますが、ここでは以下の手順を紹介してみたいと思います。

①「他人と自分を比べた事でネガティブな情動を感じている」という状態の自分をしっかりと意識に上げる
②「他人と自分を比べた事でネガティブな情動を感じている」という事について分析し自分なりの答えを出す
③②でわかった事についてその必要性を問うてみる
④また比べてネガティブな情動を感じたら①から③の手順を繰り返す

意識上に引っ張りだす

まず、①「他人と自分を比べた事でネガティブな情動を感じている」という状態の自分をしっかりと意識に上げる、について。

今回は「他人と自分を比べた → ネガティブな情動を感じた」という事をついやってしまうマインドの働き、言い換えると心の使い方の癖の様なものを変えていきたいわけですが、そうしてしまっている自分自身をそもそも自覚できていないのなら、それを意識して変えようにもなかなかそうはいきません。

何かを右から左へ動かすためには、その動かそうしている対象を意識的に認識する事が必要になる事と同じです。本ブログでもこれまで繰り返してお伝えしてきている「気付けていないものは意識的には変えられない」です。

これは私自身もすごく実感がある事なのですが、「他人と自分を比べた → ネガティブな情動を感じた」という時、いつの間にかそうしてしまっていた、気付いたらそうしてしまっていたという場合がほとんどだと思います。つまり無意識的にそうしてしまっている。ですので、その無意識でのマインドの働きを意識上に引っ張りだします。変えるための土俵へ引きずり出す感覚ですね。

分析し把握する

次に②「他人と自分を比べた事でネガティブな情動を感じている」という事について分析し自分なりの答えを出す、について。

これは①で意識に上げた内容について、その性質を詳細に分析していこうという事です。何故そうするかと言うと、「他人と自分を比べた事でネガティブな情動を感じている」という事について、その性質を分析し見極める事で、そう感じてしまう反応そのものも扱いやすくなり、変えやすくもなるからです。

使い方がわからない状態では鉄の塊と何ら変わりない「スマホ」も、その仕組みや使い方、互いに使っていく上でのルールを理解する事で、コミュニケーションデバイスとして多種多様な使い方ができるのと同じです(何だかいまいちな例えですが、気にせずに先に進みます)。

分析する方向性として様々考える事ができると思いますが、例えば以下の様な点から考える事ができると思います。

・他人と自分のどの要素を比べているのか
・なぜ「自分の方が劣っている」と判断したのか
(もし仮に自分の方が優れていると思ったのならネガティブな情動を感じる事はないはず)
・その要素について、「自分の方が劣っている」という状態がなぜイヤなのか
・感じているネガティブな情動はどの様なものか
・感じているネガティブな情動はどれぐらいの大きさか
etc…

他にもいくらでも上げられると思いますが、しっくりくるまで細かく分析していく。そしてその「しっくり感」「納得感」があればあるほど、比べてネガティブに感じている状態そのものを扱いやすくなっていきます。

本当に必要か

そして次に、③②でわかった事についてその必要性を問うてみる、について。 ②で分析した結果、それが自分にとって必要であればこれからも続ける、不要であればこれからやめる、という事を判断するという事です。

そしてこの時、「必要性」を判断するためには何らかの基準が必要になってきます。実際のところそれは人によって様々変わってくるとは思いますが、コーチングにおいてはもちろん「ゴール」になります。ゴール側の自分にとってそれが必要かどうかを見極めていく。そして一概に言えるわけではないと思いますが、ゴールから観て必要性を鑑みた時、おそらくそのほとんどが「不要」だと判断できるはずです。

そもそも比べている「他人」と「ゴール側の自分」は全く違う人間ですし、ゴール側の自分へと成長していくためには必要な事は「ゴール側の自分」と「今の自分」を比べてその差分を埋めていく事。よって他人と自分を比べ、そこでネガティブな情動を生じさせる必要性は無いと言えるのです。まさに「他人と自分を比べる必要はない。ゴール側の自分と今の自分を比べればいい」ですね。

そしてここで重要な事は、②で詳細を分析した事で、ネガティブな情動から一歩距離を置いて冷静にその判断を下しやすくなるという事。②で分析し自分なりの納得いく答えを出せた事で、前頭前野が優位になりIQが戻った状態で「他人と自分を比べた事でネガティブな情動を感じている」という自分のマインドの働きを評価しやすくなるのです。

反復し自分に染み込ませる

ここまで「他人と自分を比べなくてもいい」という考え方をどの様にして腑に落としていくのかについて書いてきました。上記の3つの事が自分なりにしっくりくる様になる事で、「他人と自分を比べなくてもいい」という考え方はかなり腑に落ちたものになるはず。

そしてさらに言えば、その「しっくりくる感覚」「腑に落ちた感覚」を何度も確認・経験する事で、他人と自分を比べネガティブな情動を感じるという機会もどんどん減っていきます。これまでそうしてしまっていたという事は、言い換えると自分にとって何らかの必要性があったからだと言えます。ですがその必要性がないという事を深く確信できたのであれば、もはや自分にとって(無意識にとって)そうする理由がなくなるのです。

もちろん、上記の3つについて一度しっくりくる回答を出せたら、他人と自分とを比べネガティブに感じるという事がすぐなくなるかというと、おそらくそういうわけではないと思います。ですが比べてしまった度に、ここまで書いてきた事をやってみてもらう事で、「他人と比べる必要はないんだ」という考え方が自分にとってどんどん確かなものとなっていくはずです。そしてそれに比例する形で人と比べてしまう頻度は減り、ネガティブな情動にとらわれる度合いもどんどん小さくなっていくはずです。それが、④また比べてネガティブな情動を感じたら①から③の手順を繰り返す、です。

私自身、以前は人と比べネガティブに感じるという事を無意識でやってしまう事が多くありました。ですがここまで書いてきた内容を理解し、実践してきた事で、それで右往左往する事はほとんどなくなった。

ただそれが全くのゼロかというと、不意にその感覚を感じる事は今でもあります。ですが「俺のゴールにとってはどうでもいい事だよね」という事を私なりにしっかりと腑に落とせているので、そこにとらわれる事はありません。その感覚が浮かんできたとしても、「はいはい、もう要らないよね」と軽くいなす感じですね。

 

というわけで前回と今回とで続けて、「他人と比べる必要はないんだ」という考え方を自分の奥深くまで腑に落とす、をテーマに書いてきました。

ここで一点お伝えしておきたい事があります。それはここまでの事を理解・実践しようとしなくても、「他人と比べなくても大丈夫です。比べるならゴール側の自分と比べていきましょう」というアドバイスだけで「そうだよな。比べる意味ないよね」と、腑に落として思えるのならそれでOKだという事です(前回も書いた様に、私自身クライアントさんにはその様に伝えています)。

ですのでここまで書いてきた事は、「頭でその意味はわかるんだけど、身体が付いてこないというか、なんかしっくり来ないんですよね」と感じている場合に対しての処方箋の一つだと思ってもらえればと思います。

他人と自分を比べるのではなく「ゴール側の自分」と「今の自分」を比べる。それをしっかりと腑に落とせる事で、誰かを見て立ち止まってしまう事もなくなっていきます。ゴール側の自分自身から観た、今の自分にとって必要なもの。それは一体どの様なものがあるのか。それを認識し埋めていく事が、ゴール側の自分へと近づいていくという事でもあります。

 

 

 

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